Event Report

開催報告

第22回総会および総会イベントはすべてzoomによるオンラインにて開催いたしました。

日程:2021年5月20日(木)
総会:14:30〜
総会イベント:16:00〜18:00
 講演「今後の世界経済はどうなる?FPが注視するべきポイントは」
 講師 野口悠紀雄氏(一橋大学名誉教授)

なお、今回より、総会通知の郵送を廃止してメールによる通知とし、議案書をペーパーレス(ダウンロード)といたしました。また、名刺交換会は、コロナ禍での状況を鑑み、実施見送りとなりました。

総会

あこがれのFPの方々が一堂に会する、年に1度のこの総会がリアルだったら、WAFP関東に入会してまだ3ヶ月の私は、気後れして参加できなかったかもしれません。
しかし、今回はオンライン開催で参加しやすかったです。
まずは、昨年の各委員会の活動報告を拝聴し、コロナ禍においてもオンラインを活用し「学び続けること、高めあうこと、つながり続けることをやめない」という姿勢に感動しました。そして理事の方々、議長をはじめ、発表して下さったスピーカーの方のオンラインでの話し方も勉強になり、「WAFPに参加して一緒に前に進みましょう」と誰でも温かく迎え入れていただけることが伝わり、WAFP初心者の私にとって、とても嬉しいお言葉ばかりでした。
オンライン上ですが、温かく和やかな雰囲気を参加者の皆さまと共有することができて、私もワクワクした気持ちになり、2021年度の活動計画も魅力的で、これから参加するのがとても楽しみです。
(伊藤 江里子)

総会イベント

講演:「今後の世界経済はどうなるFP が注視すべきポイントとは」(野口悠紀雄氏)

設定されているテーマの範囲が広いので、野口先生がどのような視点をお持ちなのかに興味を持ちながら拝聴しました。その中でも私が興味深かったのが次の4点です。

① モデルを設定してデータで確認
米中貿易戦争が始まった当初、野口先生は「関税の掛け合いによって負けるのは中国」と予想していたが、貿易収支等の実際のデータを見ていくとそうはならず、中国は単なる貿易依存度では測れないような強みを持っていることが判明した。

② 日本の生産性の低さ
その理由の1つにデジタル化の遅れがある。在宅勤務に着目されがちなリモートワークも海外出張はより大きな影響を受ける。例えば、成果主義への転換として、インドに住むインド人が東京の金融に在宅勤務することが可能になる。米国で金融に電話をかけるとインドのコールセンターにつながるのは20年以上前からなのに、日本で実現できなかった理由に言葉の壁もある。国際的な労働の利用ができなかったことも日本の生産性の低さにつながっている。

③ 中央銀行によるデジタル通貨の発行
中央銀行自身がマネーの取引データを入手できるようになる。もしこれを利用できるようになれば、データとしてのマネーの価値が非常に高まっていく。

④ データドリブン経営の加速
その重要さは知られていても、企業の帳簿作成、決算を経る必要があるなど、データをリアルタイムに入手できないのがネックだった。オープンバンキングの進むイギリスでは、コロナの緊急融資を申請してから決定までわずか60秒だったという。日本でも銀行法が改正され、オープンバンキングにより信用スコアリングの即時性と正確性が増し、貸し倒れの低下などが期待できる。

なお、全体に共通に考察範囲の広さと考察時間の長さを感じました。また、構造的な課題についていとも簡単にお話をされている点も印象的。講演終了後の質疑応答も活発で、価値ある総会イベントでした。野口悠紀雄様、WAFP関東の皆様、貴重なお話をありがとうございました。

(法人会員 生活経済研究所長野)

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